【靴の本】 「靴を読む」を読んでみた
2013/09/27
「チペワ好き」=「靴好き」ですよね
「チペワ好き」ではありますが、「靴好き」でもあります。王道にいかずチペワ選んでるところからして靴好きの中でもひょっとしたらひねくれ者? これを読んでいただいている皆さんもその傾向ありかと・・・( ̄ー ̄)ニヤリッ
靴好きゆえに靴ネタの本、雑誌、Webサイトが大好物です。飽きないんですよね。まず手の届かない高級靴に思いを馳せたりと時間があっと言う間に過ぎてしまうのでいかほどの時間を無駄にしていることやら。
で、今回は変化球なネタ。
「靴を読む~本格靴をめぐる36のトリビア」
↑ 本の紹介なのに表紙の画像ないとなんか格好つかないので楽天ブックスへリンクです。
この本、本格靴一筋20年の山田純貴氏の著作。これを読んで参考になった内容を靴好きの皆さんと共有してみたい、という新たな試み。
著名なモデルからレアなモデルまで多くの靴とそれにまつわるエピソードが掲載されており、本屋で思わず買ってしまいました。国内外の靴についていろいろ勉強でき、けっこう楽しめます。
そうですねえ、アマゾン的評価だと甘めで★3というところでしょうか。これだけのものをまとめるには苦労したでしょうが、雑誌連載からの1冊ということもあり雑多でまとまりにかけるところと全体的に流れが欲しかったというのがマイナス点。それは反対に開いたところのどこからでも読めるというメリットでもありますが。
それでは気になったところを引用と言う形でピックアップ。
「オールデンとホーウィンのいい話」から
コードバンをなめすことができるタンナーはホーウィンのほかに兵庫県姫路市の新喜皮革があり、また長野県飯田市の宮内産業も2009年にコードバンのなめしを再開していますので、現状、世界中でこの3社のみということになります。(P.28)
コードバンのタンナーってホーウィンと新喜の2社だけだとずっと思っていました。今は国内にもう1社あるんですね。たまに新喜産だと思いますが「これひでえなー」と思うコードバン見かけます。当たり前だけどピンキリ。
「デッキモカシンは実は機能のかたまりである」から
デッキモカシンて今はタウンユースの方ががぜん多いのでしょうけど、よくわからん謎の飾りがいっぱいでそのひとつひとつの意味をここで初めて知りました。一部分を抜粋。
デッキシューズのシューレース。布製は水を吸うと膨張し、結び目がほどけなくなる可能性があるため、レザー製であるのが絶対条件。(P.46)
これは知っている人が多いですかね。こちらはどうでしょう。
キッカーとはヒールカップ外壁に横一文字に施されたスリットのこと。しかもその切り口が拝み手上に縫合されています。実は、これヒールキッカーと呼ばれるディテール。靴が中まで濡れてしまい、脱ぐのに苦戦したという経験はありませんか?キッカーはこの部分を片方の足で踏みつけることで靴を押さえ込み、濡れた素足でも容易に脱ぐことができるための工夫なのです。(P.47)
「このかかとのやつなんだろ?じゃまだな」と常々思っていましたが、長年の疑問が氷解です。必要性とそこから考え抜かれて搭載されている機能を知ってしまうとデッキシューズって素晴らしい!と思うこと必至です。
「冷えない&蒸れない!ゴアテックスブーティの”実力”」から
1952年にはイタリアから直輸入したビブラムソールを自社製品に使用。それがアメリカのシューメーカーがビブラム社の底材を採用した初めての例だったそうです。(P.59)
これダナーの話です。チペワも1950年代初めにビブラムソール採用(具体的な年は調べても出てきません)という話ですがダナーのほうが早かったということになりますね。
「デザートブーツが砂漠行軍用というのは都市伝説だった!」から
クラークスのデザートブーツは、以前「砂漠行軍用に開発された靴」といわれていました。「1899年、南アフリカで勃発したボーア戦争で砂漠行軍用靴として英国陸軍が採用したのが最初」だとか「そもそも砂漠に展開する英国軍兵士のため、クラークス社が考案した」など。(P.106)
確かに私もそう聞いたことがあり、今日まで砂漠行軍用がルーツだと思っていました。
が、事実は違うというのです。クラーク兄弟直系4代目にあたるネーサン・クラーク氏が第2次世界大戦中、進駐してきたビルマの地で友人から、インドで作らせたゴム底の靴を見せられ、これをヒントに、戦後、同氏がスエードのアッパーにクレープのソールを組み合わせた靴を試作。当初、社内で「そんな風変わりな靴が売れるはずがない」とも言われた、その靴こそが「デザートブーツ」だというのです。(P.106)
この話、初耳です。1964年の東京オリンピックが開かれた年にデザートブーツは日本初上陸したそうですが、ずっと「砂漠行軍用」と販促されていたようです。
ちなみにクラークスはこのモデルを含み、世界約100カ国で年間約5100万足を売るというのですから、これまた驚きです。(P.107)
クラークスの売りまくり数字にもびっくりです。
「日本最古の靴メーカーはリーガル?それとも大塚製靴?」から
佐倉藩を脱藩して商人に転じた西村勝三氏は長州藩の医師にして兵学者で、維新後に軍の創設に努めていた大村益次郎氏から「我が国で軍装品を自給自足できるように」とのアドバイスを受け、1870年(明治3年)、東京・築地入船町に伊勢勝造靴場を創設しました。これが日本初のシューメーカーで創業の3月15日は現在「靴の記念日」になっています。
また、西村氏が、興した製靴産業は、のちに複雑な展開と発展を見せるのですが、それは2大シューメーカー、リーガルコーポレーションと大塚製靴の誕生に大きくかかわっています。(P.165)
日本製の靴の緻密さは海外製にはない良さであり、そのルーツを良く知らなかったので勉強になりました。「靴の記念日」も知りませんでした。
まだまだ挙げたいけど丸写しになっちゃうので
個人的に「なるほど」と思った度合いが高かったところをピックアップしてみました。
その他にも「メダリオンが耐水性と放湿性を追求した結果であろう」といった推測など、著者のキャリアから深い洞察に感心させられます。文章も堅苦しくなく、肩肘張らず楽しんで読むことができました。
よく雑誌に書かれていることって記者の勉強不足なんだかガセが多かったりして情報の信憑性に欠けるところがあるので、こうやってキャリアがある人がじっくり時間かけて得た知識を披露してくれる本は貴重です。
まあここで仕入れたネタをどこで披露するってわけではないんですけどね。売り場で靴を手に取って「なるほどねえ」と独りごちるのが楽しいのです。おかげさまで今日からまた靴を見る目が少し変わりそうです。
靴に関する本ってけっこう世の中にあるので、たまには変化球で取り上げてみるのもいいかなと思ってます。出版社や著者から献本とかあったら最高なんですけどまずないですよね (゚▽゚*)ニパッ♪
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